こんにちは
トラ技2018.01の中の第18話「ソースコード・オープン! 測位計算エンジン「RTKコア」についての記事が紹介されています。これに惹かれてVisual Studio 2010 Professionalをインストールして試してみることにしました。
多分ほとんどの皆さんは問題なく動作確認が出来たと思いますが、私の場合はなぜかbuild して「デバッグなしで実行」で実行しても、エラーでプログラムの実行が始まりませんでした。 今にして思えばDebug modeにしていなかったのかも知れません。
何度かチャレンジしたのですが、結局諦めてしまいそのままになっていました。
しばらくの間そのままになっていたのですが、少し新しいバージョンのVisual Studio community 2013をインストールして再チャレンジ。
これは問題なく資料のデータ(0623)の結果の確認が出来ました。
目次
自宅のデータを使った「RTKコア」の確認
自宅のデータでどんな結果になるのか気になったので「RTKコア」を使った解析をおこなってみました。 自宅のアンテナは中国から購入したアンテナ2個とTW2710が1個で同時に3つのデータを取得することが出来ます。 受信機はNEO-M8T2台とC94-M8Pの内の1台を使いました。
まず u-centerにてデータを取得します。 RTKLIBのrtkconv.exeを使って *.obsに変換します。
これらのアンテナの位置については、すでにこのブログで紹介したとおりに、近くの電子基準点を使って一応の現在の正確な?位置は測定ずみです。
「RTKコア」も「RTKLIB」とほぼ同じなので結果も同じようになると思いますが、観測結果を次に示します。
三角形の寸法と角度の計算は面倒なので、以下のサイトを利用させていただきました。
直角三角形 高精度計算サイト
https://keisan.casio.jp/exec/system/1259903491
中国から購入したアンテナAとTW2710
アンテナAからの信号がCOM10、TW2710からの信号がCOM12です。データを取得したのが夕方から翌日の朝までだったのでデータが多すぎて結構広がっているようです。
それでも±1cmには入っているようです。
その結果は以下のようになりました。
方向 | 長さ |
東方向 | 0.320m |
南方向 | -0.317m |
高さ方向 | 0.537m |
これを元に「直角三角形 高精密計算サイト」を利用して計算を行いました。
底辺は東方向、高さは南方向で計算してあります。
計算結果 | 値 |
斜辺 | 0.450m |
角度 | 44.73° |
という結果が得られました。
中国から購入したアンテナBとTW2710
アンテナBからの信号がCOM11、TW2710からの信号がCOM12です。
その結果は以下のようになりました。
方向 | 長さ |
西方向 | -0.225m |
北方向 | 0.389m |
高さ方向 | 0.560m |
これを元に「直角三角形 高精密計算サイト」を利用して計算を行いました。
底辺は西方向で高さは北方向で計算してあります。
計算結果 | 値 |
斜辺 | 0.449m |
角度 | 59.95° |
という結果が得られました。
アンテナAとBの位置
RTKコアの結果を使って2つのアンテナAとBの位置をプロットして見ました。
上がN、下がS 左がW、右がEとなります。
2つの斜辺の長さの和は
0.4504 + 0.449 = 0.8994m
2つのアンテナの角度の開きは
59.95 – 45.27 = 14.68 °
一方のアンテナを補正して
0.4504 x cos(14.68) = 0.4356m
よって
これからアンテナ2つの間の距離は
0.436 + 0.449 = 0.885m
ということで 0.88m となりました。
NからのアンテナAとBの角度
北からアンテナAとBの角度を求めて見ました。「GNSSに興味を持ってしまいました その4」との比較です。取得した日が違いますが、それほど大きな違いはないと思われます。
アンテナAの角度
角度 | 値 |
RTKコア | 329.95° |
RTKLIB | 331.1° |
アンテナBの角度
角度 | 値 |
RTKコア | 134.73° |
RTKLIB | 133.8° |
という結果になりました。
TW2710からみたアンテナAとBの高さ
TW2710とアンテナAの間の高さ
高さ | 値 |
RTKコア | 0.537m |
RTKLIB | 0.536m |
TW2710とアンテナBの間の高さ
高さ | 値 |
RTKコア | 0.560m |
RTKLIB | 0.486m |
多少の違いがあるようですが、これは誤差のうちかと思います。CQ誌にも大きな長期誤差の話が出ています。
結論
以前にRTKLIBを使って得られたデータと、今回の「RTKコア」を使って得られたデータの結果はほぼ同じとなりました。
「RTKコア』はRTKLIBの簡易版のようなもののようですが、その結果は満足いくものでした。
自分用のプログラムを作るには、まだまだ勉強が必要ですが、このようにソースがオープンになることは、非常に嬉しいことです。
チャレンジして見ようかなという気にさせてくれます。
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